消費税の原則課税の基本の「キ」
消費税の原則課税と簡易課税方式について簡単にまとめてみたいと思います。
消費税の納税額を計算する際には、「原則課税方式」と「簡易課税方式」があります。会計基準期間の売上高が5,000万円以上の事業所では、簡易課税方式を選択することはできません。課税売上高が5,000万円以下の中小事業者の場合、原則課税方式と簡易課税方式を選択することができます。
消費税の納税額の計算方法は原則として、「{(預かった消費税)-(支払った消費税)}×税率」となります。しかし、従業員の少ない中小の事業所で、売上げの内訳を課税対象取引と課税対象外取引とに分けて計算して納付税額を計算するという作業が大きな負担となるため、事務負担を軽減する目的で簡易課税方式が導入されることになったという経緯があります。
消費税の簡易課税方式は、計算のベースとなる「預った消費税」の金額は原則課税方式と同様ですが、「支払った消費税」は一切計算しないで、「預った消費税」に一定の法定「みなし仕入率」を掛けて納税額を計算する課税方式です。この簡易課税方式は 「預った消費税」のみを集計すれば納付税額を計算できるので、原則課税方式に比べて事務負担の少ない課税方式です。
中小事業者が、原則課税方式か簡易課税方式は原則課税方式と簡易課税方式で計算した場合を比べて「金額の少ない」ほうを選択できます。当初の簡易課税方式の導入目的は「中小事業者の事務負担軽減」にあったのですが、現在では税額負担の軽減(節税)の方法としても利用されているのです。
租税の基本原則
今回はアカデミックに、租税の基本原則についてみていきましょう。
<納税の義務>
「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。」と憲法では規定されています。
<租税法律主義>
租税は、民間の富(利益)を強制的に国家が吸い上げるものなので、租税には必ず法律の根拠が必要とする原則です。この原則が歴史上初めて出現したのは、13世紀のイギリスです。近代に入って租税・課税に関することは、「国民」の代表となる議会が制定した法律の根拠に基づくべしとする基本原則、すなわち租税法律主義が生まれました。現代では、ほとんどの民主国家で租税法律主義が原理とされています。
<租税公平主義>
租税は各人の担税力(租税負担能力)に応じて公平に負担されるべきという原則と、租税に関して全ての国民は平等に扱われるべきだという原則の2つの原則から構成されます。
<税の三原則>
「公平」・「中立」・「簡素」が税の三原則と呼ばれるものですが、それぞれ簡単にご紹介しましょう。
◆公平の原則・・・同様の経済活動に対しては同様に課税すべきという原則
◆中立の原則・・・税制が経済活動に影響を与えないようにすべきという原則(※ 財政の負担を通じて経済社会に対して何らかの影響を及ぼす事は避けられないが、個人、企業の経済活動においての自由な選択を阻害しないようにするという原則。)
◆簡素の原則・・・理解しやすく、また徴税・納税事務に係る費用が少ない税制にすべきという原則(※ 納税のシステムが難解で費用がかかって納税者に大きな負担を強いることがないようにしなけらばならないという原則。)
簡易課税の「みなし仕入率」
消費税の原則課税方式について学んできましたが、原則課税方式は事業所の負担が大きく、年間売り上げが1,000万円を超える程度の個人事業者では原則、難しいと言うのが現状です。
簡易課税方式から原則課税方式へ移すために、税理士にお願いしても節税分を税理士費用に充てても不足が出てしまうのです。原則課税方式は、実質的に個人事業者では難しいと言わざるおえません。
そこで、簡易課税方式を採用するのが一般的になるのですが、今回は簡易課税方式の「みなし税率」についてまとめていきましょう。
簡単に簡易課税方式の計算方法をおさらいしておきましょう。簡易課税方式は、預かった消費税に一定率(みなし仕入率)をかけて算出した額を支払った消費税とみなして計算します。
『課税売上高×5%-(課税売上高×5%)×みなし仕入率』
<みなし仕入率>
第一種事業 卸売業 90%
第二種事業 小売業 80%
第三種事業 製造業・建設業・農業等 70%
第四種事業 その他の事業(飲食店業・金融保険業) 60%
第五種事業 不動産業・運輸通信業・サービス業(飲食店業を除く) 50%
基本となる金額の「課税売上高」は原則課税方式と同様の計算になりますが、そこから差し引く「支払った消費税」は一切計算せず、その代わりに「課税売上高」に一定の法定みなし仕入率を掛けて「支払った消費税」を算出して、簡便的に納税額を計算する方式です。この簡易課税方式は 「課税売上高」のみを集計すれば納付税額を計算できるので、原則課税方式より事務負担の少ない方式です。
原則課税方式と簡易課税方式の比較
消費税の納税について基準期間の課税売上高が5千万円以下であるならば、消費税額を原則課税方式と簡易課税方式で比べて「金額の少ない」ほうを選択できるということに原則的になっているという件について、もう少し詳しくご紹介していきましょう。原則課税と簡易課税のどちらかお得なほうを選ぶことが可能ならば、原則課税と簡易課税では実際のところどれくらいお得なのか・・・。
例として挙げると、サービス業の場合は、簡易課税の「みなし仕入率」は50%です。これは預った消費税のうちの半分を支払った消費税とみなして、残りの半分を納税するということになります。
この事業者の給与総額が売上の60%を占めているとすると、給与は消費税については非課税取引ですので、残りの40%の中に支払った消費税が含まれていることになります。ここで消費税を原則課税で納税額の計算をすれば、「預った消費税」から控除できる「支払った消費税」は4割以下の金額になります。簡易課税では半分を「支払った消費税」とみなすことができるので、このケースは簡易課税を選択したほうがお得となります。
では原則課税はどういったときにお得になるのでしょうか?
次の例として、事業者が大がかりな設備投資をしようとした場合を考えて見ましょう。建物の建設や機械等の購入の際には、莫大な消費税がかかります。このようなケースでは、原則課税で計算すれば消費税が還付になる場合でも、仮に簡易課税を選択している場合、預かった消費税だけが計算対象になりますので、還付は受けられないということもありえます。
このように原則課税と簡易課税では、ケースバイケースでお得になる場合があります。
消費税の原則課税と簡易課税のキソ
これまでご紹介してきたように「消費税」には原則課税方式と簡易課税方式があります。
原則的には「原則課税方式」のみでも、問題ないのですが、前回まで説明してきたように消費税には、「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」が存在し、原則的に計算すると消費税の計算が煩雑で大変になってしまうのです。
その消費税の原則課税方式を社員の少ない事業所に適用すると、かなりの負担になってしまうため「簡易課税方式」が用意されたという原則的な流れがあります。それ故、売上高の大きな事業所では、簡易課税方式を選択することはできません。基準期間の課税売上高が5千万以下の中小事業者の場合、原則課税方式と簡易課税方式を選択することが可能になっています。
消費税の計算方法は原則として、『{(預かった消費税)-(支払った消費税)}×税率』となります。
(※ 原則的に言うと売上と仕入の差額に5%をかけた金額。)
ここで「簡易課税方式」のほうも簡単に説明しておきます。
ベースとなる「預った消費税」は原則課税方式と同様の計算ですが、「支払った消費税」のほうは原則的には一切計算せず、その代わりに「預った消費税」に「法定みなし仕入率」を掛けて「支払った消費税」を算出、納税額を計算する方式です。つまり、原則課税方式より事務負担の少ない方式です。
こうして計算した消費税額を原則課税方式と簡易課税方式で比べて「金額の少ない」ほうを選択できるということに原則的になっています。
消費税の仕組③
消費税の基本を知るために消費税の仕組みを勉強する3回目です。
今回は、消費税がかからない取引の「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」について詳しくご紹介していきましょう。
<不課税取引>
「不課税取引」の原則的な考え方は、取引の性質から言ってそもそも消費税を課す対象とならないものをいいます。不課税取引かどうかを判断するには幾つかのポイントがあります。
(1.)国内取引かどうか
例えば、日本人が海外で商品を購入した場合でも、日本の消費税が取られるということはありません。日本の消費税は、当然ながら国内取引に対してしかかけられません。
(※ 国際電話、国際運輸など国内~海外に渡って行われる取引は国内取引となります。)
(2.)対価を得る取引かどうか
無償提供や贈与など対価がない取引には課税されません。取引の判定は「名目」ではなく実際の取引の内容で判断しますので、迷ったときにはこの「対価性」を考える必要があります。
<非課税取引>
取引の性格上消費税を課税するのが好ましくない取引や、政策的見地から消費税を課税しないこととしている取引のことを非課税取引といいます。
(※ 本来は消費税を課す対象となる取引を「課税しない」としているので、非課税取引は法律で定められています。 ex.土地の譲渡及び貸付、学校教育関係など)
<免税取引>
例えば国内の資産の譲渡等であっても、輸出品のように実際の消費地が国外であるようなケースは、消費税を免除する場合があります。こうした取引を免税取引と言います。
(※ 「免税取引」は課税取引だけれども税率が「0%」である取引と考えますので、輸出前に日本国内で消費したというような場合には消費税5%が課税されることになります。)
消費税の仕組②
前回より「消費税」の仕組みについてご紹介しています。消費税の基本を学ぶことによって税務に関する理解を深めてくつもりです。
今回ご紹介するのは消費税の税率の仕組他です。
小学生でも知っている「消費税5%」という税率ですが、原則的に言うと「消費税が5%」というのは正確ではありません。
法律上の規定では国税部分が4%、その国税部分の税額の25%(4分の1)が地方消費税として上乗せされています。
つまり国税4%と地方税(4%×25%=1%)の合計が「消費税5%」の内訳なのです。
このことから、国税部分の4%が増えると地方税分の消費税も上がるということになります。国税が倍の8%になって、地方税が1%のままということは現行の法律上は有り得ない事になります。
例えば国税部分の消費税が8%になった場合には、8%×25%=2%が地方消費税分となり、合計の10%が実際の消費税ということになります。
こうした「消費税」は、原則的にはモノやサービスを消費したときにかかる税金です。しかし、全ての消費(取引)に一様にかかるわけではありません。
定義から外れたり、一定の事例に該当すれば消費税がかからない場合も多々あって、消費税がかからない取引には「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」の3種類があり、この3種類以外の取引を「課税取引」と呼びます。
消費税5%が課税されるのはこの「課税取引」だけということになります。
次回はこの「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」についてもう少し詳しくご紹介していきましょう。
消費税の仕組①
4月になりました。事業者の多くは昨日から新年度というところも多いと思います。昨年来不況が続いており、どこも厳しいと思いますが新年度に変わったことですし、心機一転頑張っていこうではありませんか。
ということで、今回からは基本に立ち返って「消費税」の仕組みについて複数回にわたってご紹介していきたいと思います。基本を学ぶことによって税務に関する理解を深めていこうではありませんか。
「消費税」とはモノやサービスを「消費」したときにかかる税金のことで、いわゆる代表的な「間接税」です。この間接税とは税金を「支払う人」と「(国や地方自治体に)納める人」が異なる税金のことをいいます。消費税の場合には、消費税を支払うのはモノやサービスを「消費」する消費者(一般の方)ですが、消費税を納めるのは消費者から税金を預った事業者(お店など)です。
例えると、スーパーで買い物をすればレジで購入代金と一緒に消費税も一緒に支払います。法人税や所得税のように税務署に支払うのではなくスーパーに支払っているということです。スーパーは消費者から「預った消費税」を後日まとめて税務署に納めるということになります。
消費者はレジで提示された代金を支払えば税額も一緒に支払ったことになりますが、その消費税を預った事業者(お店)は一体お客さんから幾ら預かったのか、後日納税する金額はいくらになるのかをきちんと把握しなければなりません。今後詳しく消費税の基本的な仕組みを一緒にみていきましょう。
次回は「消費税の税率など」について詳細にごしょうかいしていきたいと思います。
消費税の原則課税のポイント
消費税の原則課税計算方法は、売り上げ時に「預かった消費税」から仕入れ時に「支払った消費税」を控除した差額の消費税を納付する方法で、これが原則的な方法です。この消費税の原則課税は「課税売上の割合」(※ 課税売上と非課税売上の合計額の中における課税売上の占める割合)によって原則課税計算方法が変わってきます。この課税売上割合が95%以上であれば、仕入れ時に支払った消費税を、売り上げ時に預かった消費税から全額控除することが出来ます。
しかし課税売上割合が95%未満の場合には、原則課税計算方法に選択肢が出てきます。少し複雑になりますが、以下の算定方法によって消費税を計算することになります。
(A)個別対応方式
仕入れ時に支払った消費税を、(1.)課税売り上げに対応する支払った消費税、(2.)非課税売り上げに対応する支払った消費税、(3.)両方に共通して対応する支払った消費税という3つの区分に分けて計算する原則課税計算方法です。しかし、この分類は消費税法の知識がないと非常に困難になると思われます。
(B)一括比例配分方式
仕入れ時に支払った消費税の合計額に課税売上割合(※ 課税売上と非課税売上の合計額の中における課税売上の占める割合)を乗じて算出した金額を支払った消費税とする原則課税計算方法です。(A)の個別対応方式に比べてこちらの原則課税計算方法は比較的簡単なものになります。
(A)、(B)のいずれの原則課税計算方法にしても、支払った消費税の正確な把握が重要になります。
消費税の基礎
前回に引き続いて「消費税」の原則、基礎知識について学んでいきましょう。前回もご紹介しましたが、消費税が課税されるか、されないかは法令で決められていますが、課税されない取引もあり、それは「非課税取引」と「免税取引」に大別されます。
<消費されないもの>土地など
<消費とは言えないもの>給与、貸付利息、保険料、前売りチケット(料金の前払いで、お金の代わりです)
<政策的に非課税としたもの>住宅家賃(但し、営業用物件の家賃は課税対象)
消費税は「対外取引」で発生するもので、現金を預金口座に入金したとか、決算で減価償却費を計上したとかの場合は、消費税の対象外となります。また、一定要件を満たす輸出は免税取引で、本来は課税取引なのですが、課税が免除されています。
課税取引をする場合、売上・サービスの提供に伴って発生する消費税は事業者の「預り分」になります。仕入・経費の支払、資産購入に伴って発生する消費税は事業者の「支払分」になります。原則として、「預り分」の消費税額から「支払分」の消費税額を差し引いた金額が、納めるべき消費税額になります。消費税の計算は損益計算ではなく、差額の計算です。
「支払分」については「仮払消費税」、「預り分」については「預り消費税」又は「仮受消費税」と呼ぶのが一般的ですが、消費税の申告書では「預り分」を「消費税額」、「支払分」を「控除税額」といいます。
消費税額の計算の<「預り消費税」-「仮払消費税」>のうち、<-「仮払消費税」>の部分を実際の金額で計算する方法を、「原則課税」といい、これに代えて、売上額(収益額)の『一定比率』で計算する方法を「簡易課税」と言います。